WORLD Feature Billund, DENMARK
LEGO® House
『遊びから学ぶ』 世界初のレゴハウスがグランドオープン!

LEGO® House

2017年9月28日、レゴ本社やレゴランドがあるデンマークのビルンに、世界初となる「LEGO® House(レゴハウス)」がグランドオープンしました。『遊びから学ぶ』というレゴ社の哲学を集約した空間です。

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レゴ社オーナーが描いたレゴハウス設立の夢

レゴハウスはレゴ社のエッセンスである『学び』『思いやり』『クオリティ』『想像力』『創造力』『楽しむ』を凝縮した、レゴブロックのホームグラウンドです。「長年、ゲストにとって究極のレゴ体験ができる場所を作りたいと夢見てきました」と、レゴ社のオーナーであるケル・キアク・クリスチャンセン氏はその喜びを語ります。「子どもは楽しいときに最もよく学ぶのです」「私たち(レゴ社)のエネルギーも未だに子どもに近いものがあります。もちろん規律は必要ですが、同時に私たちは遊び心にあふれていなければなりません」と興奮気味に語る姿には、パワフルなエネルギーが満ちています。

レゴ社オーナー、ケル・キアク・クリスチャンセン氏
レゴ社オーナー、ケル・キアク・クリスチャンセン氏

建築家ビャルケ氏のレゴハウス設計への想い

レゴハウスの設計を担当したのは、世界的に活躍中のデンマーク人建築家ビャルケ・インゲルス氏率いるBIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)です。世界を舞台にいくつもの設計を手掛けてきたBIGですが、ビャルケ氏のレゴハウス設計にかける情熱には並々ならぬものがありました。「もし僕たちBIGがたったひとつの建物を建てるためだけに設立された建築事務所だとしたら、建てるべきその唯一の建築はレゴハウスだ。このコンペには何がなんでも勝たなければいけない」。当時ビャルケ氏はコンペにかける想いをこのように語っていたそうです。

建築家ビャルケ・インゲルス氏
建築家ビャルケ・インゲルス氏

設計に携わったBIG小池良平氏へのインタビュー

じつはビャルケ氏と共にレゴハウス設計の主要な一翼を担った日本人がいます。BIGのスタッフ小池良平氏です。小池氏はビャルケ氏とチームリーダーのブライアン・ヤン氏と共に、レゴハウス設計プロジェクトのまさに初日(コンペが開催された2012年)から最終日(施工完了した2017年)まで関わっていました。コンペ時にはBIG内で200案以上あるアイデアから1案に絞ったこと、ビャルケ氏と毎日どこでもスカイプ会議をしたこと、ビャルケ氏が滞在していたニューヨークに他のスタッフ数人と共に数ヶ月間滞在してプロジェクトに取り組んだことなど、当時の様子を明かしてくれました。そして「レゴハウスに関しては、ビャルケは本当にフルパワーで臨んでいました」と語ります。

小池氏にとってレゴハウス設計で面白かったことは、最初から建築のアイデンティティが明確であった点だそうです。「レゴ社もレゴファンも僕らもみんなレゴ社のフィロソフィーとレゴのシステムをよくわかっていたので、『これはレゴっぽい』『これはレゴっぽくない』という共通認識をもって取り組むことができました」とレゴハウスプロジェクトの特殊性を感じたといいます。

また、小池氏はレゴの考え方とBIGの建築アプローチには共通点があると指摘します。「レゴにはモジュールの決まったブロックで形を作るという制約があります。これは真っ白いキャンバスに自由に作品をクリエイトするアートというよりは、描く対象とサイズの決まっているポートレイトや使う素材が限定される彫刻のように、何らかの制約からクリエイティブなものを生み出す作品に近く、クライアントの要望や敷地、プログラムの問題点などの制約をデザインに利用するBIGのスタイルに似ています。制約があると一見不自由そうにも感じられますが、制約やシステムがある方が逆にクリエイティビティを発揮できるんです。レゴではこのことを『システマティック・クリエイティビティ(Systematic Creativity)』と呼んでいます」と楽しそうに話す小池氏。制約はむしろアイデアのエッセンスになるようです。レゴブロック素材をアイコンとして設計したレゴハウスは、規格の決まったモジュールを用いるという点で制約を思い切り楽しめるプロジェクトだったようです。

レゴハウスはどんな空間ですか?

BIGが提案した空間デザイン案は、レゴ社のアイコン的なレゴブロックでした。建物自体が21個のレゴブロックを積み重ねたようなデザインになっており、12,000㎡の敷地には2,000㎡の屋内広場、体験ゾーン、3つのレストラン、コンファレンスルームなどが入り、屋上はプレイスペースとして活用されています。

LEGO® House

レゴハウスは誰もがアクセスできて地元のビルン市民も楽しめる公共空間となってほしいという想いから、屋内のレゴスクエアや屋上のテラスは一般市民が無料で入れるスペースとなっています。
レゴスクエアにそびえ立つのは高さ15mの世界最大級のレゴ模型の1つ『創造の木』です。631万6,611個のレゴブロックで2万4,350時間かけて制作されたといいます。『創造の木』は、1932年に木製玩具から始まったレゴ社の小さな種が時を経て巨大な大木に成長したことを表現しています。

(左)一般市民も無料で入れるレゴスクエア (右)レゴ社を象徴する『創造の木』
(左)一般市民も無料で入れるレゴスクエア (右)レゴ社を象徴する『創造の木』

有料の体験ゾーンは、レッド/ブルー/グリーン/イエローの4色のゾーンで構成されており、すべて『遊びから学ぶ』というレゴの哲学に基づいて作られています。

「レッドゾーン」は創造力を駆使してレゴブロックで作品制作に取り組める空間。

レゴの滝。無数のレゴを用いて制作に取り組める。
レゴの滝。無数のレゴを用いて制作に取り組める。

「ブルーゾーン」はロジックで遊び、問題解決にチャレンジできる空間。

組み立てた車で走行やジャンプに挑戦。北極体験ロボットの操作体験。
組み立てた車で走行やジャンプに挑戦。北極体験ロボットの操作体験。

「グリーンゾーン」は物語とロールプレイングゲームで遊ぶ空間。

フィルム制作できるストーリーラボ。好きなキャラを選んでストーリーを制作。
フィルム制作できるストーリーラボ。好きなキャラを選んでストーリーを制作。

「イエローゾーン」は感覚で遊び、自己表現できる空間。

レゴで作った昆虫で遊ぶコーナー。作った海の生き物をスキャンしてデジタル水槽で泳がせることができる。
レゴで作った昆虫で遊ぶコーナー。作った海の生き物をスキャンしてデジタル水槽で泳がせることができる。

「マスターピースギャラリー」では、レゴビルダーの作品が一定期間展示されます。一定期間が過ぎると、展示は別の作品に入れ替わります。

レゴビルダーが情熱を注ぎ長時間かけて制作した作品が展示されている。
レゴビルダーが情熱を注ぎ長時間かけて制作した作品が展示されている。

「ヒストリーコレクション」では、レゴ社の創業当初から現在に至るまでの商品が展示されています。

過去の商品パッケージと組み立てたモデルなどが展示されているヒストリーコレクション。
過去の商品パッケージと組み立てたモデルなどが展示されているヒストリーコレクション。

「レゴストア」では最新商品や特別商品を購入できるほか、ユニークなカスタマイズされたレゴ体験を楽しむことができます。例えば、性格分析して自分に最も性格が似ているレゴのフィギュアを見つけることもできます。 レストランも遊び心あふれるアイデアが盛りだくさん!メニューにはメイン・野菜・サイドディッシュ・温野菜が4つのカテゴリで色分けされており、各カテゴリから1種類ずつ選択します。各メニューには対応するレゴブロックが描かれており、希望のメニューに該当するレゴブロックを注文用のプレートに組み立てます。完成したらそのプレートを専用マシンでスキャンすると注文が認識される仕組み。レゴロボットたちが働く工場のようなレーンに載せられて、まもなくレストランのカウンターから注文通りのレゴのランチボックスが届けられ、子どもたちは大喜び!(参考動画はこちら

(左)性格診断をすると自分似のフィギュアを発見できる(右)メニューを見て希望する料理に該当するレゴブロックを組み立て、スキャンして料理を注文する
(左)性格診断をすると自分似のフィギュアを発見できる
(右)メニューを見て希望する料理に該当するレゴブロックを組み立て、スキャンして料理を注文する

レゴハウスのディレクターであるイェスパー・ヴィルストロップ氏は「体験ゾーンから屋上やレストランにいたるまで、すべての空間が『遊びから学ぶ』というレゴ社の哲学に基づいて、好奇心と創造力を刺激するように作られています。レゴハウスのどこに行っても『遊ばずにはいられない』んです!」と語ります。

子どもも大人も遊ばずにはいられない、つまり学ばずにもいられない、そんな究極のレゴ体験ができるレゴハウスには、世界中から子ども連れの家族やレゴファンが押しかけることになるでしょう。レゴハウスはスペースが限られているため、訪問には事前予約が必要です。レゴランドとレゴハウスをセットで訪問できる世界で唯一の場所、デンマークの田舎町ビルンは、今後ますます世界中から注目を集める“遊び”と“学び”が詰まったグローバルな街になりそうですね。

写真:レゴ社提供