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太秦 江戸酒場 UZUMASA EDO SAKABA ~はるかな時を超えて、江戸時代の京都へ。粋な大人の夜祭りに迷い込む~

太秦 江戸酒場 UZUMASA EDO SAKABA ~はるかな時を超えて、江戸時代の京都へ。粋な大人の夜祭りに迷い込む~

これまで国内外のさまざまなエンタテインメントを特集してきたEdea(イーディア)では、新たに“Amazing Experience(感動体験)”をテーマに、実際にその場所に行って体験しなければわからないユニークで特別なエンタテインメントの姿を“追体験”できるような特集をお届けしていきます。

第一回となる今回は、知る人ぞ知る京都のエンタテインメントにフィーチャー。
舞台となるのはご存知、時代劇の聖地・太秦(うずまさ)映画村。時代劇のオープンセットを体験できたり、江戸時代の町並みが忠実に再現されていたりと、日中は大勢の観光客でにぎわうこのテーマパークですが、今回噂を聞いてやってきたのは、年に数度だけ通常の営業終了後に開催されるという大人の夜祭り「太秦江戸酒場」。毎回異なるコンセプトが設定されていて、今回は「秋・維新前夜」。日本の歴史において重要な変わり目となった江戸時代末期の「大政奉還」(1867年11月9日)から150年を迎えた現代の京都で、いったいどのような特別な体験が待っているのでしょうか。

今回体験するのは、Edeaを運営するセガサミーホールディングスで広報を務める下原奈々子さん。

今回体験するのは、Edeaを運営するセガサミーホールディングスで広報を務める下原奈奈子さん。まずは他の大勢の来場者とともに入口で和装に着替えます(有料でレンタル可)。
「この場所で着物を着られるなんて、もうワクワクしてきました!」とはやくも気分が高まってきたご様子。
さあ、はるかな時を超えて、江戸時代の京都へ。粋な大人の夜祭りに迷い込んでみましょう。

取材:2017年11月26日
協力:太秦江戸酒場

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時空を超えて、江戸時代のエンタテインメントを満喫!

150年も前の京に足を踏み入れた来場者たち。妖艶な灯りに誘われて、散り散りに夜の街に消えてゆきます。

150年も前の京に足を踏み入れた来場者たち。妖艶な灯りに誘われて、散り散りに夜の街に消えてゆきます。

そんななか、ひときわ威勢のよい掛け声と大きな笑い声が漏れ聞こえるにぎやかな家屋が。吸い寄せられるように入ってみると、そこには・・・あの時代劇で見たままの「丁半博打場」が!

【丁半BAR】

【丁半BAR】

「丁か半か!」「さあ張った張った!」
女性賭博師の掛け声とともに、参加者はみな手持ちの札を大胆に賭けていきます。見様見真似で下原さんも飛び入り参加。一か八か、手持ちの札をすべて「丁(偶数)」へ・・・いざ、勝負!

「グニ(2, 5)の半!」
「あぁー!」「やられたぁー!」「よぉーしよし!」
これぞ博打!その場の全員が一喜一憂して大盛り上がりです。

下原さんはといえば、いきなり手持ちの札が一気になくなってしまいました・・。
でも安心してください。この「丁半BAR」はあくまでも体験ですので、実際のお金は賭けていません。それでもこのリアルな博打の雰囲気、ハラハラドキドキ、一か八かの真剣勝負。当時の人たちが癖になるのも分かるかも(笑)
知らない者同士が一体となって楽しめる大人の社交場として、江戸時代もこんな風に賑わっていたのでしょう。

【髪結処「ISHIN」】

さて、熱狂の賭場を抜け出して歩いていると、着物姿の女性たちが集まる軒先があります。
そこは幕末時代の髪結処「ISHIN」。いつの時代も美にこだわる女性たちが、こだわりのヘアスタイルを求めて集う場所です。
「せっかく和装なので、ぜひ体験してみたい!」と下原さん。

【髪結処「ISHIN」】

イケメン髪結師の方々に丁寧に結ってもらえます。ひとりひとりの個性に合わせてスタイリングしてくれるそうです。
江戸の時代も、こんな髪結処から時代の最先端をゆくお洒落なヘアスタイルが生まれていたのかもしれませんね。

【髪結処「ISHIN」】

「簪(かんざし)職人の方が作った髪留めや可愛い蝶の髪留めを差してもらえて大満足です」と笑顔。
髪型もばっちりキマったところで、さあ次の遊び場へ!

【ボンサンBAR】

上機嫌で路地を歩いていると、なにやら軒先に見慣れぬ文字が。
「BONSAN BAR」・・・?はて。ここはなんだろう。

【ボンサンBAR】

聞けば、ここはその名の通り、「ボンサン=お坊さん」がいるバーだというではありませんか。
しかも、長い歴史を持つ仏教の思想を受け継ぎ、常に精進するお坊さんに、お酒を酌み交わしながら人生相談やアドバイスをしてもらえるバーだというのです!
その昔、みんなで助け合い、励まし合って生きていくために地域の人が集まるコミュニティだったといわれるお寺。お坊さんは仏教の精神を分かりやすい言葉に置き換えて人生を教えてくれる存在でした。

複雑を極め、いろんな悩みを抱えて生きる現代の人たちにとって、まさにこんなバーがあったら通いたくなるかも!そんなすてきな発想のバーですね。

【ボンサンBAR】

この家屋では、めったに見られない現役佛具職人の方の実演を間近で見ることができたり、浪人たちとイベント参加者が酒を酌み交わしていたりと、ゆったりとした時間が流れていました。

【ボンサンBAR】

街を歩いていて出会う可愛らしい町娘たちとの交流も楽しみのひとつです。

街を歩いていて出会う可愛らしい町娘たちとの交流も楽しみのひとつです。

雅(みやび)な京グルメとはしご酒

雅(みやび)な京グルメとはしご酒

さて、江戸時代の京都を歩き回り、そろそろお腹も空いてきた頃合い。「太秦江戸酒場」の大きな楽しみが、グルメとはしご酒です。入場時や会場内の販売所で専用金券「太秦小判」(600円×5枚綴り)を購入しておき、歩きながら気に入ったお店に立ち寄って、飲食を楽しむことができます。

なんといってもオススメは、「専用のおちょこ」をGETすること。「太秦江戸酒場」には京都の酒蔵も協力していて、このおちょこを持っていけば会場内の軒下の至るところで、数々の珍しい京都の日本酒が飲み放題になるのです!

なんといってもオススメは、「専用のおちょこ」をGETすること。「太秦江戸酒場」には京都の酒蔵も協力しているため、このおちょこを持っていけば会場内の軒下の至るところで、珍しい京都の日本酒が飲み放題になるのです!

時代劇のような京都の街並みで、はしご酒。なんてすてきな響きでしょうか。

会場内のお店では、お酒だけでなく、さまざまな京都の名店が協力して料理を提供しています。

会場内のお店では、お酒だけでなく、さまざまな京都の名店が協力して料理を提供しています。

会場内のお店では、お酒だけでなく、さまざまな京都の名店が協力して料理を提供しています。

【時代居酒屋 若旦那】

すべてのお店に立ち寄りたい気持ちを抑えつつ、チョイスしたのは、「時代居酒屋 若旦那」。軒先に赤提灯が揺れるお店の暖簾をくぐれば、本格的な京料理とあたたかな古き良き居酒屋の空気が迎えてくれました。

【時代居酒屋 若旦那】

【時代居酒屋 若旦那】

このお店は、「いづう」8代目当主・佐々木勝悟氏、「中村楼」13代目・辻喜彦氏、「クリケット」小坂洋平氏、「山本本家」山本晃嗣氏と、京都の名店の若旦那衆が手がけています。繊細ながらも素材の味をしっかり感じられる味わいで、五感で楽しめる料理の数々。京の雅(みやび)が感じられる「太秦江戸酒場」、あっぱれです!

幕末の京都に渦巻く、革命の気配

幕末の京都に渦巻く、革命の気配

お腹も満たされて店を後にし、ふと路地を曲がると、見覚えのある名の提灯が・・。秋も深まる肌寒い夜、150年前にタイムスリップしたかのような、熱い時代の息吹を感じことになるのです。

【新選組BAR】

華麗な京都の夜に渦巻く、革命の気配。路地裏を歩いていれば、侍や町娘たちに交じって、なにかを企てる怪しげな眼差しの維新の志士たちを見かけることも・・・。

【新選組BAR】

あの「池田屋」のなかをふとのぞいてみれば、そこにいたのは幕末の英雄、新撰組の面々。不穏な時代に正義の名のもとに命を懸けて戦った彼らと酌み交わす酒もまた一興。決して他では味わえない楽しみです。

【新選組BAR】

幕末の英雄たちと記念にパシャリ!

【CLUB 維新】

通りから聞こえてくる不可思議な音色。人だかりからのぞいてみれば、そこには陶芸家と茶道家に挟まれてDJをする怪しげな忍者の姿。ボイスパーカッションとラップ?!その背後では障子に大胆に「維新」と筆をはしらせる着物姿の女性。いったいなんだこれ?!

【CLUB 維新】

尊皇攘夷の時代にあって、欧米列強の文化が否が応でも聞こえてくる・・・。アートユニットAYAKASHIによる、そんな「維新前夜」の空気感をユニークに表現した唯一無二のパフォーマンス。幕末の京都で、来場者は新時代の魅惑的な風に酔いしれました。

【辻斬りMUSICAL】

そして、広場にて突如始まる戦い。ついに相まみえる維新志士と新撰組。江戸時代の京都に迷い込んだ時間を存分に楽しみ、フィナーレを飾るのがこの息を呑む決戦なのです。

【辻斬りMUSICAL】

風を感じるほど間近で見られる殺陣は迫力満点!集まった群衆からは感嘆の声。

【辻斬りMUSICAL】

歴史が動いたここ京都の太秦映画村ならではのパフォーマンスに、歴史ファンならずとも大満足のひと時になるでしょう。

終了後に、軒先で余韻を楽しむ和装の外国人の方にお話を伺ってみました。
日本が大好きで、京都に暮らすフランス人とフィリピン人のお二人。

日本が大好きで、京都に暮らすフランス人とフィリピン人のお二人。

「本や映画のなかで知っていた江戸時代の日本でしたが、こんなにすばらしい場所で忘れられない体験になりました。タイムスリップしたような感覚で歴史をリアルに体感できる感動だけでなく、私は料理の仕事をしているので、すばらしい食事のクオリティやもてなしにも大満足でした。日本文化の奥深さをまた知れた気がします」と話してくれました。

今回初めて「太秦江戸酒場」を体験したセガサミーホールディングスの下原さんは、こう話します。

今回初めて「太秦江戸酒場」を体験したセガサミーホールディングスの下原さんは、こう話します。

「私たちもエンタテインメントを提供するお仕事に携わっていますが、太秦江戸酒場ではほんとうにエンタテインメントのヒントを数多く発見することができました!また、この映画村の環境のなかで驚きと感動を生むすばらしい演出には、地元の伝統工芸の職人さんも数多く携わっていて、あらためて日本の歴史や文化を知るきっかけになる“学び”の要素も散りばめられていることに感銘を受けました」

さて、次回の「太秦江戸酒場」はどんなコンセプトと演出で、この粋な京都の夜に集う人びとを酔わせてくれるのでしょう。楽しみに待っていたいと思います!

編集後記

今回「太秦江戸酒場」を取材して、歴史文化はあらためてエンタテインメントの真髄だ!と体感させていただきました。京都という日本の歴史文化が凝縮された都市、さらに太秦映画村というすばらしい環境が融合すると、これほどの稀有な体験を生み出すことができるのかと感じました。そこには、いっさい妥協のない演出があり、スタッフの方々の努力があり、そして地元のさまざまな企業やお店の協力を得て運営されている姿も印象的でした。「コト消費」という言葉が盛んに聞こえてくる昨今ですが、その地域の歴史と資産が見事に融合したかたちに、ほんとうの「コト消費」の可能性があるのではないかと思います。こんな粋な夜に出逢えるなら、そのためだけに遠方からでも出かけていく目的になりますね。幕末の京都で呑むお酒、美味しかったなぁ。
Editor / Writer 岸本悠生(TNC)