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奏で合う まちの未来 ~音楽と、これからのまちづくり~

奏で合う まちの未来 ~音楽と、これからのまちづくり~

2016年9月4日、日曜日。
週末の大勢の人出でにぎわう渋谷の街のいたるところから、音楽の音色が聞こえてきます。お店から流れる宣伝の音とはちがい、人が奏でる楽器と陽気な声が交じり合った、ぬくもりのある音色たち。

この日、渋谷区の各地で開催されていたのは「渋谷ズンチャカ」。2014年のプレイベントからはじまり、今年で3回目を迎えた、街が舞台の“参加型”音楽フェスです。
演奏しているのは、子どもから年配者まで。通りすがりの人が「楽しそうだからちょっとやってみようか」と楽器を手に取り、この場で初めて楽器演奏体験をする人もいるとか。上手い下手は関係なし。プロの演奏を聴くだけのイベントではなく、誰もが歌ったり、奏でたり、それぞれの音楽を自由に楽しめる場になっているのです。

東京のど真ん中。世代も国籍も異なるさまざまな人が集うこの大都会・渋谷に突如出現した、“1日だけの音楽解放区”。おそろいのTシャツを身に着けた多くのボランティアスタッフが、渋谷の街なかの至るところで大活躍。これっていったいどうなってるの?

今回のEdeaでは、渋谷の各所を巻き込んで盛り上がった「渋谷ズンチャカ」の取り組みと、企画協力する株式会社ヤマハミュージックジャパンの「おとまち」プロジェクトにフィーチャー。音楽と、これからのまちづくりを見つめました。

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【渋谷ズンチャカ

1日だけの音楽解放区。

【渋谷ズンチャカ!】1日だけの音楽解放区。正午。渋谷駅ハチ公口広場には大勢の人だかりがありました。

正午。渋谷駅ハチ公口広場には大勢の人だかりがありました。
「渋谷ズンチャカ」の特設ステージで突如始まった威勢のよい和太鼓チームの演奏。普段の都市生活では耳慣れない音に、誰もが足を止めます。

続いて行われたオープニングセレモニーに登壇した渋谷区長・長谷部健さんのご挨拶。

オープニングセレモニーに登壇した渋谷区長・長谷部健さんのご挨拶

“これから大きな変化の時期を迎える渋谷は、多様性(ダイバーシティ)を大切にした国際都市をめざします。その中で、音楽はひとつのカギになります。商店街のみなさん、そして、大勢のボランティアのみなさんのご協力に感謝しつつ、「渋谷ズンチャカ」を楽しんでいってください!”

次に勢いよく登場したのは、応援団長の井上順さん。

次に勢いよく登場したのは、応援団長の井上順さん。

“この「渋谷ズンチャカ」は近いうちに世界に知られる国際的なイベントになるんじゃないかな!さあ、みなさん!盛り上がっていきましょー!!”

この日ばかりは忠犬ハチ公もズンチャカ仕様にドレスアップしています。海外からの観光客も大喜び。

この日ばかりは忠犬ハチ公もズンチャカ!仕様にドレスアップしています。海外からの観光客も大喜び。

さあ、渋谷の街中が一体となる“1日だけの音楽解放区”「渋谷ズンチャカ」のスタートです。

演奏者も観客もNO BORDER!みんなでセッション

「渋谷ズンチャカ」は、渋谷ズンチャカ実行委員会が主催、渋谷区の共催のもと、多くの企業の協賛や地域の協力を得て開催されました。会場も昨年から大幅に増え、ハチ公前広場、渋谷センター街、みやした こうえんをはじめ、商業施設前や桜丘エリアなど、計16ヵ所で多彩なステージやセッション、ワークショップなどが行われました。

センター街のど真ん中をパレードする出演者たち。道行く人もノリノリ♪

渋谷センター街のど真ん中をパレードする出演者たち。道行く人もノリノリ♪

その魅力はなんといっても、ただ演奏する、ただ聴くのではなく、演奏者と観客の境を取っ払い、みんなで歌って踊ったり、飛び入りで演奏したりと、誰もが自由に音楽を楽しめることです。初めは恥ずかしそうにしていた人も、一度やってみればもうノリノリ!まさに“音楽開放区”という言葉がぴったりです。

渋谷MODI店頭プラザ会場で行われた陽気なセッション

尺八・琴の体験コーナーも設置

渋谷MODI店頭プラザ会場で行われた陽気なセッション(左)尺八・琴の体験コーナーも設置(右)

街中に設置された電子ピアノは誰でも自由に演奏を楽しめる

親子で楽しめる手作り楽器ワークショップも開催

街なかに設置されたピアノは誰でも自由に演奏を楽しめる(左)親子で楽しめる手作り楽器ワークショップも開催(右)

みやしたこうえんクライミングウォール会場では、JOYSOUNDの協賛で屋外カラオケが登場!楽器とのセッションも自由で、飛び入りの参加者たちが大声で熱唱

メインステージでは、楽器経験者も未経験者も混じった即席ビッグバンドを結成。ハイロウズの「日曜日よりの使者」や「上を向いて歩こう」などを演奏し、観客と一緒に大盛り上がり!

みやした こうえんクライミングウォール会場では、JOYSOUNDの協賛で屋外カラオケが登場!楽器とのセッションも自由で、飛び入りの参加者たちが大声で熱唱(左)メインステージでは、楽器経験者も未経験者も混じった即席バンドを結成。ザ・ハイロウズの「日曜日よりの使者」や「上を向いて歩こう」などを演奏し、観客と一緒に大盛り上がり!(右)

宇田川交番前の広場にはグランドピアノが設置され、渋谷を拠点に活動するHIP HOPグループ「渋谷サイファー」とピアノによるフリースタイルセッションが開始!

宇田川交番前の広場にはグランドピアノが設置され、渋谷を拠点に活動するHIP HOPグループ「渋谷サイファー」とピアノによるフリースタイルセッションが開始!

宇田川交番前の広場にはグランドピアノが設置され、渋谷を拠点に活動するHIP HOPグループ「渋谷サイファー」とピアノによるフリースタイルセッションが開始!またたく間に人だかりができ、観客との一体感が生まれます。音楽とストリートカルチャーの発信地、渋谷らしい光景でした。

「渋谷ズンチャカ!」には個性豊かなパフォーマーのみなさんも勢ぞろい!リアル・ピカチュウ?!!

「渋谷ズンチャカ!」には個性豊かなパフォーマーのみなさんも勢ぞろい!リアル・ピカチュウ?!!

「渋谷ズンチャカ」には個性豊かなパフォーマーのみなさんも勢ぞろい!リアル・ピカチュウ?!!

海外からのお客さんも一緒になって楽しんでいる光景が至るところで。「モントリオールにも国際的なジャズフェスティバルがあって、その雰囲気に似ていて、街全体が音楽で盛り上がっているのはクールだと思うよ」と、カナダ人のジョーダンさん

「こんな楽しいイベントがあることをもっと事前に知っていたら最初から来たのに!」と話すドイツから訪れた友人3人組

海外からのお客さんも一緒になって楽しんでいる光景が至るところで。「モントリオールにも国際的なジャズフェスティバルがあって、その雰囲気に似ていて、街全体が音楽で盛り上がっているのはクールだと思うよ」と、カナダ人のジョーダンさん(左)「こんな楽しいイベントがあることをもっと事前に知っていたら最初から来たのに!」と話すドイツから訪れた友人3人組(右)

みやしたこうえんメインステージで行われたファイナルセッション「みんなでズンチャカ!」。大勢の一般演奏者や観客が集い、大合唱で幕を閉じた。感動!

みやした こうえんメインステージで行われたファイナルセッション「みんなでズンチャカ」。大勢の一般演奏者や観客が集い、
大合唱で幕を閉じた。感動!

最後にスタッフのみなさんが集まり記念撮影!おつかれさまでした!

最後に参加者やボランティアスタッフ、地元商店会のみなさんが集まり記念撮影!おつかれさまでした!

地域とボランティアが奏でる一体感

驚いたのは、渋谷各所での運営を、すべて公募で集った100名を超えるボランティアスタッフが取り仕切っていたことでした。2年前のプレイベント、昨年の開催を経て、「渋谷ズンチャカ」のコンセプトに共感した10~40代中心の世代を超えたメンバーが参加しています。各々仕事を持ちながら、定期的に集まって会議を重ね、当日の盛り上がりを支えているのです。

「渋谷ズンチャカ!」のコンセプトに共感した20~30代中心の若いメンバーが参加しています。

「渋谷ズンチャカ!」のコンセプトに共感した20~30代中心の若いメンバーが参加しています。

「渋谷ズンチャカ!」のコンセプトに共感した20~30代中心の若いメンバーが参加しています。

過去の2回を経て、渋谷ズンチャカ実行委員会やボランティアスタッフの熱意に賛同し、渋谷区地域関係者のサポートも集まるようになってきました。渋谷センター街の理事の方からはこんな言葉があったといいます。

“たとえば、苦情を止めるのはぼくらの仕事だ。ズンチャカに関わることで、人生が変わった。この幸せを自分たちだけで留めておいてはいけない。より若い世代に伝えていきたい。そのために、自分たちがサポートしなければいけない”

渋谷区や地域関係者、そして多くのボランティアが奏でる一体感が、よりダイナミックに、自由に音楽を楽しめる「渋谷ズンチャカ」の実現を支えているのです。

SHIBUYAの魅力を世界へ

市民ボランティアチーム「チーム・ズンチャカ」で2016年のリーダーを務めた松原大輔さん。まだ22歳でありながら企画から参加し、進行役を務め、自身もピアノの演奏者としてパフォーマンスもこなします。「渋谷ズンチャカ」にかける想いをうかがいました。

松原さん

「わたし自身が渋谷生まれ、渋谷育ちなんです。幼い頃からピアノを弾いて育ち、路上ライブもずっとしていました。なので、渋谷ズンチャカの0回(プレイベント)の存在を知った時に、迷わず立候補しました。ピアノだけでなく、ナレーションや舞台などもやってきていて、人前でなにか表現すること、お客さんと同じ目線でパフォーマンスして楽しんでもらうような経験を、渋谷のために生かしたいと思ったのがきっかけでしたね」

「いまではこれほどの規模になりましたが、0回の時は、まずは商店街の方々に説明しに行くところからでした。単純に会場で演奏をやるイベントとはまったく違い、渋谷という大都会で、それもいろんな会場で同時に行うわけですから、例えば道路の使用許可や移動ルートの確保などは警察に許可をいただかなければいけませんし、地域との連携が不可欠なんです。現在は多くのボランティアスタッフのみなさんの力を借りられ、さらに『うちの会場も使ってくれないか』という相談までいただけるようになり、まだまだ拡大する兆しがあります。ほんとうにうれしいです」

「渋谷ズンチャカがめざす姿は、これから2020年に向けて、この街がますます大きな変化を迎える中で、世界に向けてSHIBUYAの魅力を発信していけるものになることです。リオ五輪の閉会式で、次の東京五輪をPRする映像に映し出されたのも渋谷でした。まさに“象徴的な街”なんです。日本中から、世界中から多くの人が集まるこの渋谷で、人と人をつなげる音楽の力を活用し、新しい未来を創っていく活動ができたらと思っています」

松原さん